もはや廃墟でもない・洞戸鉱山 〜後編〜







山奥にひっそりと残る坑道。
鉱山としては、今や面影はない。



入るとすぐ、深い水たまりになっていた。
この鉱山には立て坑も現存している。
その落とし穴に落ちたら、200〜300mぐらいだろうか。
足元には十分気をつけながら慎重に進む。



天井の高さは身長ギリギリ。
少し屈まないと頭を打ちそうだ。



坑道の中は、空気が冷たくて気持ちいい。
近代の廃坑は未だに爆薬の硝酸臭が漂っているが、ここは無臭で、歴史を感じさせる。



長靴でギリギリの水深。



坑道が曲がりくねっている。曲がりくねった坑道は珍しい。
坑道内は湿度が高く、霧が立ち込めていた。
坑内でストロボ撮影した画像は全て真っ白だったため、かなり調整している。



しばらく進むと、広い空間に出た。
坑道が四差路になっている。
天井の高さは今までの倍ぐらい、2〜3mはあるだろう。
崩落した土砂が、時の流れを感じさせる。



すぐ左の坑道は、崩落で埋まっていた。
手前には、やや新しめの脚立が立て掛けてあった。
どうやら、最近でも訪れる人があるらしい。



直進する方向は、長靴でも歯が立たない深い池になっていた。



この坑道なら、脇の方を歩けば何とかなるかもしれない。
しかし、今日は下見に来ただけなので、深入りせずにここで引き返した。



外に出ると、雨は小降りになっていた。



今回は下見編ということで、また近々調査に訪れる予定だ。
この雰囲気だと、有毒ガスや無酸素、落盤の危険は低いだろう。
吸収缶の付いた防毒マスクを被って歩き回るのは、極力避けたい。
だいいち、防毒マスクは1種類のガスにしか効果が無いので、とても万全とはいえない。
結局のところ、最大限安全を考慮するなら、酸素ボンベを背負うしかない。
と、そんな非現実的なことをする人はまずいないだろう。
現実的には、異常を感じたら即座に撤退できるよう、身軽にしておくことだ。
また、一人で廃坑に入る時は行き先と期間を友人に伝えておくことや、短期保険や生命保険の検討も大事だろう。
廃坑を訪れる際は、くれぐれも自己責任・自己(事故)回避で!