神岡鉱山東茂住地区 さらば!茂住選鉱場 3/3
細かく破砕され、浮遊選鉱にかけられる前の鉱石を貯め置く貯蔵庫。
この高さが分かるだろうか。
腐食した金網の上を歩くと、足がすくむ。
鉱石の最終破砕・磨鉱を行うプラントにやってきた。
受電設備のある部屋は、ほぼ真っ暗な状態だった。
雨が漏れば、鉄は錆びる。
巨大なボールミルと巨大な分級器。
異常時に警報を鳴らす黄色い鐘があった。
階段の踊り場が無くなっている。
磨鉱より先の工程を行う施設が、更地になっている。
破砕の施設だけが今のところ残り、選鉱施設は解体された。
昨年からの関連施設の解体を含めると、茂住選鉱場の三分の二以上が取り壊されたことになる。
栃洞の電車軌道と時を同じくして、茂住選鉱場も解体されてしまった。
今回の工事は「茂住選鉱場解体工事」となっており、また、解体作業のためのプレハブ小屋も設置されたままだった。
2008年春には、選鉱場全てが取り壊されてしまうだろう。
鉱山施設の解体は、ここ神岡に限ったことではなく、全国的に見ても、近年活発になってきた。
国内鉱生産の衰退期に殆どの金属鉱山が休廃止になったため、明治以降に近代化された鉱山は、どれも似たような状態になっている。
廃墟化した建物の老朽化が進み、たとえ不法侵入者であっても鉱山敷地内での事故は事業者の責任になってしまう鉱山法の影響もあってか、管理面での安全を図って取り壊す例が多いようだ。
これは、事業者にとって全く生産性の無い無用な出費に他ならないのだが。
高度成長を支え、時代を築いてきた日本の鉱山。
皮肉なことに、日本が経済成長することによって、斜陽産業となってしまった。
ひっそりと廃墟になり、そして人知れず取り壊されていく日本の鉱山の姿を、今後も記録し続けていきたいと思う。