新潟からの帰り道、神岡鉱山へと立ち寄った。
前回と同じメンバー、隊員の総裁と二人で。
再訪の理由は、あの時迫って来たトロッコはなんだったのか。
その謎に迫るためである。
慎重に歩を進める。
坑道のその先を目指しているため、前回とは違って鉱山住宅側からアプローチを試みる。
鉱山住宅を抜けてずっと直進すると、工事現場に出た。
ここまで来ると、坑道と無関係なので引き返す。
鉱山住宅の近くまで戻ると、この建物がある。
前回も来ているので、見覚えがある。
よーくみると、近傍に真新しい電柱が立っていて、電線が中へと続いている。
建物の中からは、モーターのような音が聞こえている。
位置的にいっても、これは何かの手がかりになるかもしれない。
この付近を捜索した。
すると、建物から斜面の下に、コンクリートが口を開けていた。
あまり期待はせず、近寄ってみる。
内部には水も流れている。
コンクリートは新しく、装置は全て稼動している。
全身に緊張が走る。
その先には・・・
あった!トロッコの軌道だ!
この状況では、いつ工事関係者が来てもおかしくない。
我々に与えられた時間はわずかだったが、大きな収穫だった。
坑道の入り口側を見ると、崩壊しているのが見えた。
足元にはトラップがある。
落とし穴に落ちないように気をつけて、反対方向を見た。
軌道は、ここから本格的に山に潜っていたのだ。
廃墟としてよく紹介されている坑道は、地上の部分だけだ。
なぜなら、地下の坑道は、今なお現役で採掘されているからだ。
調査なのか、鉱物標本の試掘なのか定かではないが、現役で稼動していることは間違いない。
あの崩壊地点こそが、廃墟と現役の境界線だった。
廃墟探索時においては、超えてはならない禁断のポイントだ。
多くの発見に様々な思いが交錯する中、我々は早々に撤収した。