神岡鉱山栃洞地区 さらば!電車軌道


広大な神岡鉱山の中でも最も有名な廃墟と思われる栃洞の電車軌道跡。
2005年に坑口側の約半分が取り壊されてしまった。
プラットホーム側のみ現存していたが、自然による損傷が激しくまともに歩くことは不可能な状態になっていた。
それでも、人車やバッテリーロコ(充電式機関車)を眺めながら、頑張れば選鉱場まで行けたので、まだまだ魅力のある施設だった。
その軌道跡の解体工事が始まったとの情報を受け、早速現地へと向かった。




在りし日の姿                            現在の様子
 
軌道の始点付近。
数ヶ月前に来た時には何も変化が無かったが、僅かな間にこんなことに・・・
初回訪問時にワクワクしながら軌道に入った時のことが、懐かしく思い出される。


 
プラットホームはかろうじて残っていたが、当時の面影は感じられない。


 
事務所や研究棟、休憩室等、建物という建物が全て取り壊され、更地になっていた。


 
プラットホームを過ぎると、軌道跡は完膚無きまでに取り壊されていた。
人車は移動され、今のところ無事だったが、今後が気になるところだ。


 
選鉱場へと下ってゆくインクラインとのポイント付近。
何も無くなれば、意外と狭い感じがする。


 
本線とインクラインとのターンテーブル。
インクラインのケーブルを巻き上げる装置があった小屋も、取り壊されていた。


 
選鉱場へと下るインクライン。
取り壊された残骸が、無造作に捨てられていた。


 
つい数ヶ月前までの面影は、全くない。


 
板張りのビューポイントは、板も解体されていた。
解体されて分かったのが、以前はここから鉱石が投入されていたということ。
ナベトロで運ばれた鉱石は、ここで落とされていたものと思われる。
その後、トラックレスマイニング法の導入によって鉱石の運搬はトラックに取って代わり、
人と物資の輸送のみとなったトロッコ軌道は、危険箇所を板で塞いだのではないだろうか。


 



ただ、取り壊されたことで、今までは見ることの出来なかったアングルで選鉱場を眺めることが出来た。



選鉱場は自然による損壊が激しく、一部は完全に屋根が無くなり、建物が崩壊している。



あの板を踏み抜いて落ちていたら・・・
自力で這い上がるのは、まず無理だろう。



完全に崩壊した選鉱場の中に、階段だけが見えた。



2005年に取り壊しが完了した地点に到達。
これで、栃洞地区の目玉であった通洞レベルの電車軌道は、完全に姿を消した。



年々崩壊が進んでいたため、いつかはこんな日が来ると思っていた。
しかし、いざ取り壊されてしまうと、やはり寂しいものがある。
栃洞地区のシンボル的存在であっただけに、残念だ。
半世紀以上に亘って鉱石や火薬、モーター類、そして鉱員を運び続けたトロッコ。
フェードアウトするかのようにひっそりと現役を退き、廃墟フリークや一部の鉄道マニアを惹きつけていた。
それが人知れず解体され更地になってしまったことに、くやしい思いがした。


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