春日鉱山 中山鉱区 〜後編〜
その隣は、畳敷きの休憩室のようだ。
こうした現場には必ずあるポスター。
これは、1987年のものらしい。
外に出て、さらに藪を軌道に沿って進む。
わずかに、レールが見える。
藪を抜けると、鉱石を選鉱または搬出するための施設があった。
屋根の下にいる機関車(バッテリーカー)の状態も、結構いい。
屋根が落ちていて、貨車がそれを支えている。
そのすき間を、進む。
かつての神岡鉱山栃洞鉱区の軌道を思い出した。
山の斜面を登り、先ほどの軌道を見下ろす。
唯一の坑口から搬出口までのトロッコ軌道は200メートルたらず。
小規模な鉱山で、かつては気心の知れた工夫たちが働いていたのだろう。
大規模な鉱山とは違い、馴れ合いのほのぼのとした情景が頭に浮かんだ。
こうして、廃墟で一人、回想している時間がなんとも有意義に感じられる。
私は廃墟から少し元気をもらい、中山鉱区をあとにした。
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