土倉鉱山【坑道編】


清清しい秋晴れの休日、隊員のK氏と半年ぶりに再会し、出かけた。
目的は、急病で入院している知人の見舞いだった。
ただ単に見舞いに行くだけでは面白くない。
酷道303号を通りつつ土倉鉱山に立ち寄ることにした。
ここで、思いがけない事態が発生、しかも次々と・・・






再会を懐かしみ、ツッコミどころ満載のR303を走る。
途中、「道づくりに使われます ガソリン税・自動車重量税」の看板があった。
納税者を納得させるための看板だが、この道の場合は完全に逆効果だ。
素晴らしい紅葉を眺めながら、土倉鉱山へ到着。 ここで昼食にする予定で、食事も買ってある。
坑道の入り口まで行ってUターンすることにした。



車を方向転換させ、鉱山跡に戻ろうとした時、K氏が
「鍵、かかってないんとちゃいます?」
いつ来ても南京錠がかかっていたため、私は注意して見ていなかったのだ。
早速、車に標準装備してある長靴・作業着に着替え、ヘルメットを装着。
懐中電灯を持って坑道へ潜入を開始した。



内部には水が流れている。けっこうな水量がある。



入り口付近に佇むK氏。
K氏は長靴を装備していなかったため、お待ちいただいた。



坑道全体に水が流れ、長靴が無いと進めないだろう。
長年水が流れ続けているため、藻が付着していて滑りやすい。



しばらく行くと、コンクリが切れて素掘りになった。
昨日は雨天だったこともあり、天井から、大量の湧き水が落ちてくる。
まるで雨の降る中にいるようで、デジカメが壊れる勢い。



大量の湧き水と滑りやすい足元、K氏を入り口に待たせていることもあり、今回はここで引き返した。
これは次回、カッパを着て来た方が良さそうだ。



このあと、我々は鉱山(選鉱)跡に戻って昼食にした。
ここで、私は人影に気付いた。
建物の影で、撮影している男女がいた。
男はカメラとレフ版を持って、だいぶん年下であろう若い女の子を撮影している。
一人でレフ版も持って撮影している姿は、何だか必死だ。
女の子の方は、ノートパソコンを持った状態で撮られている。

そんな光景を不思議そうな目で眺めていると、1台の車がやってきた。
京都ナンバーの車で、中から親子連れが降りてきた。
「ま、まさか、一家で廃墟巡りか!?」
と思ったら、本当にそうだった。父親がデジカメで撮影を始めた。

唖然としてると、今度は前方から若い派手なねーちゃんが現われた!
全身真っ黒い、派手なライダー系の上下にブーツ、サングラスをしている。
あまりにも廃墟に不釣合いな若い女性が、一人で、しかも歩いて登場だ!
しかし、なんでこんな場所に・・・と思ってたら、そのねーちゃんもおもむろにデジカメ取り出した。

いままで何度も来ているが、こんなに人工密度の高い土倉鉱山は初めてだった。
本当に廃墟ブームはきているのかと、信じそうになる出来事だった。
この日は、その後の本題・知人のお見舞いも含めて、サプライズだらけの一日になった。