無縁菩薩の寺 4/4
さらに隣の部屋へ。
このお寺は、祭事を行う部屋が端っ子にあり、横一列に4つの部屋が並んでいる。
先ほどのが2つ目の部屋で、これが3つ目の部屋ということになる。
食器棚にも生活感が満ち溢れている。
ちゃぶ台には調味料も載ったままだ。
さらに奥、最後の4つ目の部屋は台所だった。
昔ながらの釜戸もあった。
しかし、もっぱらガス火を使っていたようだ。
このガズコンロだけが、この建物内で唯一光の差す場所だった。
屋内は真っ暗で、ジメジメとして湿度が非常に高かった。
居心地が悪かったため、ひとしきり見終えると早々に廃寺を出た。
一見、普通の廃屋のようだったが、一歩足を踏み入れると違っていた。
廃墟は、中に入ってみないと分からない。
それがまた、廃墟の醍醐味でもあるのだけれど。