産地最大の染色工場 5/5
事務所のフロアのみ、なぜか物で溢れていた。
これまでスッカラカンなフロアばかり見てきたので、なんだかとても違和感を感じる。
金庫という金庫がこじ開けられていた。廃墟ではよく見る光景だ。
銀行がきちんと処理したのだから、ここまで苦労して開けても、中に金目のものなど入っている筈がない。
大きな工場だけに、調理室もあった。そして・・・
講堂まであった!講堂を備えた企業の廃墟というのは、なかなかお目にかかれない。
ちょっとしたセミナーが開けそうな部屋もあった。
電気マニアの友人のために撮影。
屋上は浸水していて、ちょっと出にくい状態。
窓から見える、探索してきた工場群。
セメントや鉱山と繊維の工場は、巨大なものが多い。
セメント・鉱山は機械自体が巨大で、必然的にプラントも大きくなる。
一方の繊維は、機械の一つひとつは小さいが、装置をたくさん置く必要があるため、生産能力によっては小さい工場も大きな工場もある。
紡績なんかの川上工程だと、小規模だと生産性が悪く採算が合わないため、何千機、何万機という機械を備えた大規模な工場がほとんどだ。
今回見てきた染色・仕上げ加工だと、大量加工を行う大規模な工場と、小ロット多品種加工を行う小規模な工場とで、棲み分けが出来ている。
いずれの工程にしても、大量生産ができる大規模な工場ほど、安価な海外工場に仕事を奪われてしまう。
ただ、繊維関係の工場は、廃業後すぐに取り壊してショッピングモールや建売住宅を建設したり、他の企業を誘致することが多く、廃墟になることはまずない。
それだけに、巨大な繊維工場の廃墟はレアケースといえる。
物凄く低い確率で残っていたこの廃墟も、現在、取り壊しの真っ最中。
既に工場部分の解体はほぼ終了していて、間もなく更地になるだろう。
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