焼けたショッピングモール
最初に断っておくが、これは廃墟ではない。
では、なぜここで公開しているのかというと、ほかに公開する所がないからだ。
管理人の独断で廃墟ではないものをここに置いているので、ご了承を。
ということで、これは廃墟ではなく、火災物件だ。
ある日、営業中のショッピングモールから出火し、全焼するという大火災が発生した。
ショッピングモールは休日とあって買い物客も多かったが、速やかに避難したため、客も従業員も全員無事だった。
巨大なショッピングモールが全焼、しかも営業中である。
一歩間違えれば大惨事になるところだった。
そんな火災現場に、”老朽化建物及び火災現場の専門家”として、中に入れてもらうことができた。
今回は廃墟探索ではなく、現場検証といったほうがいいだろう。
警備の方に挨拶をして一歩足を踏み入れると、全てが焼き尽くされていた。
商品は焼け焦げ、天井も焼け落ちている。
天井の金属は酸化し、一部は溶け落ちていた。
広大なフロア全てが焼けている。
売り場の金属ラックは、高温で溶けて原型を留めていないものもあった。
焼け焦げたレジが並ぶ。営業中に出火してこうなってしまったというのは、複雑な思いだ。
風鈴のガラスが高温で解けていた。この分だと、建物の鉄骨も酸化していて、使い物にならないかもしれない。
売り場を隔てるシャッターは閉められていた形跡があるが、焼け落ちていた。
このシャッターが機能していれば、あるいは延焼は防げたかもしれない。
膨大な数の商品も、完全に灰になっていた。
商品は完全に炭化していて、何だったのか判別できないものがほとんどだ。
これは電池だろう。火災が発生する瞬間まで、商品として売られていたものだ。
炎は、売り場の隅々まで焼き尽くした。
焼けた栄養ドリンクの山。
焼けた果物の山。
出火元と見られている倉庫付近の燃え方が、一段と酷かった。
炎はトイレの中まで完全に焼き尽くしていた。
焼け落ちたショッピングカート。
屋内に渦巻いた炎は、行き場を求めて換気口や階段を伝って屋上へも噴き出した。
噴き出した炎により、屋上駐車場に停められていた車も全焼した。
大規模な火災現場、それも現場保存されている建物内に立ち入ったのは、もちろんはじめて。
営業中の従業員も客もいるなかで出火し、全焼したという火の回りの速さには驚くしかなかった。
そして、店内はガラスや鉄をも溶解してしまう高温の炎によって焼き尽くされた。
出火原因等は調査中で、今後の課題もあるが、地元住民のためにも早期の営業再開を目指している。
そのためには、現状の建物を極力残して、リフォームで対応する必要がある。
しかし、鉄筋コンクリートの頑丈な建物といえども、火災によってダメージを受けている。
そのダメージを検証しなければならず、程度や工法によって、再開への期間と費用が大きく変わってくる。
そうしたことについて、少しだけ意見を述べて、現場を後にした。
最後に、お世話になった関係各位に、深く御礼申し上げたい。