秘湯S温泉
北陸の山奥に、かつて一軒宿の秘湯があった。
温泉マニアの間で知られる存在で、知る人ぞ知る秘湯だったという。
そんな秘湯の一軒宿が廃業して久しく、秘境の廃墟となっていた。
かつては舗装されていた道も、獣道と化していた。
この道をかなり歩くことになる。
廃車の屋根がひしゃげていた。
ようやく建物らしい残骸が現れた。本体は近い。
ついに、秘湯の宿が見えてきた。渡り廊下がある!
宿に到着。1階部分が完全に押し潰されていて、入れない。
廃墟としての賞味期限は過ぎているか過ぎていないか、ギリギリのところ。
こちらが宿で、渡り廊下の向こうに温泉があるようだ。
この渡り廊下、下の鉄骨以外は床板も全て木造になっていて、ここをを渡るのは本当にお勧めできない。
対岸に到着。
渓流を眺めながらの温泉は最高。
ただ、景色を楽しむために窓を全開にしておくと、向かいの本館と渡り廊下から丸見えになる。
泉質までは分からないが、秘湯マニアに愛されていた理由が分かる気がした。
残り半分も、いつまで持ち堪えることやら。
派手で大きな廃墟も楽しいが、こうした味のある廃墟も好きだ。
建物とともに、人々の思い出も消えてゆくようで、しんみりとした気持ちになる。
完全に瓦礫となってしまう日も近そうだが、そうなった時にも、また訪れてみたい。
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