ホテル坪○ 〜後編〜





バリケードのすき間から、一条の光が差す。



ロビーを抜け、客室へと向かう。



怖くない悪魔の絵がお出迎え。
う〜ん、いい味出してる・・・



廃墟になって20年以上経過している筈だが、古びた感じがしない。
建築されて早々に廃墟化したのだろうか。



客室内は残留物が何も無く、面白味に欠ける。



各階とも同じ造りで、室内も同じだった。
天井が低く、宿泊施設というよりかは従業員寮や学生宿舎のようだ。



上層階は、これといって見所がなかった。









荒らされている割には新しい感じがするということと、残留物が全く無いため、廃墟としてはやや見所に欠ける感があった。
肝心の浴場が発見できなかったため、恐らく周辺にあった関連物件のどれかが浴場と思われる。
色々と噂が絶えない物件だが、そんなこと何も知らずに行ったためあまり面白くなかった。

所有者が地元住民ではないことが分かったので、少しホッとした。
ソーっと入って写真を撮るだけでも、荒らしていることに違いはない。
バットや鉄パイプを持って破壊しまくる連中とは程度は違うが、五十歩百歩だということは認識している。
ただ言い訳だが、所有者をはじめ地元住民らに少しでも迷惑をかけないよう、最大限努力している。

たまにはこうした噂話の絶えない物件を訪れ、噂話を一つ一つ詮議してみるのも面白い。
この噂はあれが原因で生まれたんだろうとか、この話は本当らしいとか、考えるのも楽しみの一つだから。
噂の一つに、訪問者は無事に帰れないというのがある。
徹夜で運転してきたため、睡魔と疲労と戦いながらの運転だったが、幸い無事に帰ることが出来た。
これでもし、事故にでも遭遇しようものなら、「呪われた」ことにされてしまうのだろう。