ロシアのテーマパーク 4/4
放火で焼けても、鉄筋コンクリートなので建物自体は焼け残った。
通路を隔てたバーは、焼損を免れていた。
木造だったら、跡形も無く燃え尽きていたことだろう。
放火火災というのは、周辺住民に重大なインパクトを与える。
それだけに、廃墟の寿命を極端に縮める。物理的な意味ではなくて。
廃墟というより、火災現場を現場検証している気分だ。
敷地内をぐるっと一周して、入口付近に戻ってきた。
中は教会になっていた。
明かり取り窓。なかなか凝っている。
ステンドグラスは、破壊されずに無傷だった。
ここで結婚式を挙げたカップルも多かったことだろう。
そう考えると、なんだか複雑な気分だ。
探索を終えても、まだ早朝といえる時間。
出口に向かっていると、正面から人が歩いてくる気配がした。
ここで遭遇すると、一本道で逃げ道が無い。
耳を澄ましていると、近づいてくる足音は一人だけ。
上着の擦れる音からすると、関係者ではなく同業者のようだ。
イチかバチかで、そのまま前進し、遭遇することにした。
現れてきた人影は、やはり同業者だった。
こちらの格好(作業着、ヘルメット)で驚かせてはまずいと思い、「おはようございます!」と声をかけたが、「???おはようございます???」という感じの反応だった。
以前、同業者とバッタリ出くわした際、走って逃げられたことがある。
それ以来、逃げられる前にこちらから声をかけるようにしている。
他県の廃墟のページへもどる