焼け残った温泉旅館


週末の夜、「東海秘密倶楽部」の酒井氏と合流し、北陸を目指した。
特に目的地があるわけでは無かったが、あの辺りに行けば何とかなるだろうという確信はあった。
岐阜から深夜の酷道157号線で福井県へと入った。
3時間以上走っても、車・バイク・人等に一切遭遇しなかった。
猿や猪には何度も遭遇したが。
峠付近では、雲の中に突中したり激しい雷雨に見舞われたりで、生きた心地がしなかった。
全く前が見えなくなって完全停止したら、目の前が崖ッ淵だった。
もちろんガードレールなどない。それが酷道だ。
そんななか爆睡できる酒井氏は、やっぱり大物だ。

そうこうしてると、石川県へと入ってきた。
あまり知られていない温泉地の看板が目に止まり、とりあえず曲がってみる。
怪しげな道を発見し入って行くと、案の定、廃墟があった。




夜から降り始めた雨は止む気配がなく、しとしとと降り続いている。
後で分かったことだが、以前はこの右隣にも建物が続いていたらしい。
それが廃墟化後に不審火で焼けたらしく、今は空き地となっている。
どうやら、焼けた建物の方が本館で、規模が大きかったようだ。残念。



ボイラー室。天井や壁も、全面が煤けている。



!!最近まで誰かが生活していた形跡を発見。
横の棚には、調味料も充実していた。



部屋によっては全く荒らされておらず、すぐにでも営業できそうだ。






ロウソクが転がっている部屋。
2階はことごとく窓が割られていた。
投石によるもので、部屋には拳大の石が多数散らばっている。



かなり信心深かったようで、祭壇が祀られていた。
ここはどうも、なにかの宗教施設のようにも思える。
経営者が、新興宗教の中では比較的歴史があってまともな宗教の信者だからだ。
一般の信者というよりかは、支部長かそれ以上の役割を担っていたようだ。









天井から激しく雨が漏っている。



どういう訳か、便器が撤去されたトイレ。



内部には、経営者の生活の跡が生々しく残っていた。
人の誕生から全てを記録したアルバムを残し、主は一体どうしたのだろうか・・・



新たな廃墟を求め、我々は次の温泉地へと向かった。