酷道439紀行12 フィナーレ
杓子峠を抜けるとしばらく郊外を走り、中村市街へと入ってゆく。
このT字路でいよいよゴールか?
感動を分かち合ったものの、実はゴールではなかった。
本線は左折して、まだ続いていた。
国道56号との交差点。
今度こそ、本物の終点だ。
これで、長かったヨサクの旅が終わる。
ゴールしたいような、したくないような複雑な心境で交差点に侵入。
2週間に亘るヨサクの旅も、これでおしまい。
まずはとらさんを撮影。
続いて、自分も撮ってもらった。
ヨサクの旅は終わっても、我々の旅はまだ終わらない。
こんな街中では感動を味わえないため、旅の総括を兼ねて足摺岬へと向かった。
ヨサクの終点から足摺岬までは意外と遠く、着いた頃にはすっかり夜中になっていた。
人気の無い足摺岬を歩き、展望台に向かった。
月明かりと灯台の灯りにうっすらと見える海を見下ろしながら、とらさんとコーヒーで乾杯をした。
我々が乾杯するのは、いつもコーヒーと決まっている。
本来なら豆からドリップするのだが、ここ足摺岬は国定公園内であるため火気の使用が禁じられている。
やむなく缶コーヒーでの祝杯となった。
コーヒーを飲みながら、この2週4日間、岐阜からの往復を考えると正味7日間のことを振り返った。
酷道193の素掘りトンネル、謎が解けたコリトリ、かかし、京柱峠の絶品猪肉うどん、京柱峠からの眺めに端を発した集落巡り、廃鉱山、四国カルスト・・・
色々なことがあったが、一番印象に残っているのは集落巡りだ。
山奥に色んな人が色んな思いを持って暮らしていた。
ヨサクが山道あり、生活道路ありの酷道だからこそ、そうした風景と出会い、人と出会えた。
ヨサクは、これまで気付いていなかった酷道の新たな魅力を、我々に教えてくれた。
今回、全て飛び込みで話を聞いたにも関わらず、皆さんに親切にしていただいた。
当時のお話を時間をかけて教えていただいたり、野菜を食べさせてもらったり、湧き水を飲んだり。
人の思いやりが身にしみる旅だった。
皆さんからもらった親切を、回りの人々に分けられるように努力しようと思う二人であった。
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