岐阜市古津 無理心中事件
2012年11月10日、岐阜市を流れる長良川右岸の古津バス停に停まっている乗用車の中から、二人の遺体が発見された。
遺体は60歳の母親と35歳の娘と判明、娘は病死とみられるが、母親の首には絞められた跡があり、殺人事件と断定された。
母親は助手席、娘は後部座席に倒れており、ともに首まで毛布がかけられていた。
車内には母娘、そして父親の3人が書いたと思われる「静かに休ませて下さい。」という遺書も残されていた。
行方不明になっている父親が事情を知っているものとみて、岐阜県警の捜査本部はのべ3000人を動員して付近の山や長良川を下流まで捜索した。
しかし、10日経っても足取りが摘めず、無理心中ではなく殺人事件の可能性も疑われたことから、死体遺棄事件の容疑者として父親を全国に指名手配した。
この長良古津という地は、以前にも河川敷でセンセーショナルな殺人事件が発生しているし、毎年多くの人が亡くなる県内屈指の水難事故ポイントになっている。
停まっていた車の中から遺体が発見されたバス停。
この日は11月11日、事件発生の翌日。
事件現場付近の長良川では、ボートを出して捜索が行われていた。
地上部隊も、ちょうど捜索を開始するところだった。
父親の所在を探すため、各地に散ってゆく。
草むらから路地まで、徹底的に探してゆく。
もちろん、生きているとは限らないので、それも意識して探しているようだった。
衝撃的な事件だったので、複数のマスコミも取材にきていた。
事件発生から2ヶ月近くが過ぎた2013年1月3日、約3キロ下流の長良川対岸で、指名手配されていた父親の遺体が発見された。
死後1ヶ月以上が経過しており、事件直後に死亡していたものと推測された。
3人は、市内の南部に住んでいた。
持病を抱える娘と父母の3人暮らし。
無理心中を図るまで、いったい何があったのだろうか。
娘の病死をきっかけに、夫婦が心中したのではないか。
謎が多い事件だが、3人が全員死んでしまっているので、今となっては知る術がない。
命あるもの、たとえ何があっても、どんなに苦しくても、絶対に生き抜いてほしいと強く思う。
自殺や心中というのは、それなりに背景があるのだろうが、絶対に選択してほしくない。
生きたくても生きられない人もいる。
生きていれば何とかなることも、死んでしまっては何ともならない。
今回の事件も残念だが、今となってはご冥福をお祈りすることしかできないのが、もどかしい。
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