幌内炭鉱 1/2


これまで、北海道は避けてきた。
単純に遠いということと、地続きではないため、車で走って行けないからだ。
しかし、いつまでも避け続ける訳にもいかない。
北海道に数多く存在する炭鉱の廃虚は、風化が進んでいる。
日本国内において、炭鉱や金属鉱山の廃虚が新たに発生する確率は、ほぼゼロだ。
つまり、国内に現存している廃墟が倒壊して消えてしまえば、日本から鉱山の廃墟が消えてしまう。
これは、単に廃墟のジャンルが減るということではなく、日本の高度成長を支えた一大産業であった鉱山の痕跡が、失われてしまうことに他ならない。
こうした危機感を覚え、『封印された日本の地下世界』の取材にかこつけ、北海道の炭鉱廃虚を訪問することにした。






明治元年に偶然発見されたことをキッカケに、北海道開拓使により開発された幌内炭鉱。
明治22年、北海道炭礦鉄道が経営を引き継ぎ、昭和41年、幌内炭鉱で最大となるこの立坑が完成した。
昭和50年には爆発事故が発生し、多数の行方不明者を坑内に残したまま、消火のため水を注入するという非常措置が取られた。



通常、坑内に水を注入すると炭鉱は放棄され、閉山となる。
しかし、ここ幌内炭鉱は、昭和52年に採掘を再開、奇跡の復活を遂げた。
それだけ有望な炭鉱だったといえるだろうが、繁栄は長くは続くなかった。
時代の流れには勝てず、平成元年、他の国内炭鉱と同様に閉山の憂き目を見ることとなった。



北海道での滞在時間を最大限有効に活用するため、時刻はまだ午前5時。横から射す朝日が眩しい。



車で少し移動し、北炭幌内変電所跡にやってきた。



ここは施錠され、きっちりと管理されているのでガラス越しに撮影。



張り巡らされた変電所の鉄柱に、緑が生い茂っていた。



これは、電気設備マニアの船津君が興奮しそうな場所だ。



レンガ造りの建屋のすぐ前に、ジャングルジムがある。



まだ朝の5時台だが、日差しが厳しくなってきた。



すぐ横にある幌内神社にも立ち寄った。



下草は刈られているようだったが、灯篭は倒れ、建物は崩壊し、荒れた感は否めない。
北海道の旅はここがスタート。旅の安全を祈願し、引き返すことにした。



幌内炭鉱 2/2 へつづく


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