神岡鉱山 栃洞鉱区 〜その4〜







さらに進むと、なぜか足元のバラスト(敷き石)が新しい。




「丸山NO1」と書かれた貨車の後方には、真新しいポリドラムが見える。

なぜ??・・・




キターーーーー!!!

完全に崩壊している。


(以下、「プ○ジェクトX」風になります)

ここが限界点だと、皆思った。

隊員は、言った。「引き返そう」

隊長、考えた。

「いや、まだだ、強度を調べる」




梁の状態や崩壊の状況を、念入りに確認した。

「よし、行ける!」隊長は、言った。

手にしていたヘルメットを、深くかぶった。




そんなこんなで、何とか最大限安全を確保しつつ、体をくねらせて崩壊箇所を突破。

これが、越えてはならない禁断の扉とも知らずに・・・




崩壊に、多数の貨車が巻き込まれている。




「なんとか抜けたぞ」と安堵した矢先の出来事だった。

我々は、思いもよらない事態に遭遇する。

隊長「なんか音が聞こえないか?」

隊員「なんだろうな・・・」

隊長「蒸気みたいな音だな」

二人「こっち来る!!」

その音が、レール上をトロッコが走ってくる音だと気づいた時には、もう見える距離に迫っていた。

幸い、この辺りは暗く、向こうからはまだ発見されていない。

私と隊員は十メートルほど離れた場所にいたが、ジェスチャーで「隠れろ!」という合図を送り、山側の建物に身を潜めた。

こうした危機的状況で、ふと辺りを見回した。

ボンドやバケツなど、色々な道具類が置かれているが、これまでに見てきたものとは明らかに違う。

全てが真新しく、使用感があるのだ。

そして、軌道のすぐ先は崩壊している。

最悪のシナリオが、脳裏をよぎる。

「トロッコは、ここに来る!!!」

すぐさま撤退の態勢に入る。

トロッコは2、30メートルの距離まで迫っていたが、辺りは暗い。

多少の足音は、トロッコの走行音がかき消してくれる。

それに、こんな所に人がいるとは思ってもいないだろう。先入観というのは、人の感覚を大きく左右する。

「今だ!」二人は山側の壁に沿うようにして、闇に紛れて早足で撤退した。

無我夢中だった。崩壊現場を越えたあとは、さらに速度を上げて撤退した。




あっという間に、外へ出た。

時間をかけて来た道も、駆け抜ければあっという間だった。

それにしても、緊張した。

休日のAM7時。なんでこんなことに・・・





栃洞鉱区 〜その5〜


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