金生山の石灰1/3


金生山の東部・乙女坂地区には、JR美濃赤坂駅から西濃鉄道市橋線の石灰石貨物専用の線路が延びている。
乙女坂で石灰石が貨車に積み込まれ、専用線で美濃赤坂駅へと運ばれている。
石灰石は、さらにJR東海道本線で笠寺駅へ、笠寺からは名古屋臨海鉄道で製鉄会社へと継送される。
石灰石を焼成せずに原石の状態で製鉄資材として販売するという新しいビジネスモデルは、それなりに成功しているようだ。
以前、金生山南部の昼飯(ひるい)地区にも軌道が延びていたが、現在は廃止になっている。




昭和3年に開業した市橋線、当時は美濃赤坂〜乙女坂〜猿岩〜市橋の全線2.6kmだった。
一時旅客列車が走っていたこともあったが、専ら石灰石を運び続けている。
近代になって石灰石の鉄道輸送は減少し続け、乙女坂〜市橋間1.3kmは廃止となった。






近代化された巨大な工場群が立ち並ぶ乙女坂駅周辺を抜け北上すると、線路も廃線となり、荒涼としている。






さらに北上すると、戦前・戦後の石灰工業の遺構が数多く見受けられる。
どうやら時代とともに設備は近代化し、南へ南へと移転してきたようだ。






少なくとも戦前に造られたと思われる石灰の焼成炉。
これで石灰石を焼いて、生石灰にしていた。















焼成炉か鉱石のピットと思われる建造物も、もはや遺跡と化している。



遺跡化している施設の脇に、最近のプレハブがあったりする。
金生山では、邪魔にならない限り昔の施設を取り壊すことはあまりない。
乙女坂地区で稼動している最新鋭の工場の裏にも、戦前の遺構が残っている。
先人を称えて残しているのか、取り壊すのが面倒なのか、所有者がいないのか・・・
いずれにしても、鉱山の面影を訪ね歩く者にとっては、非常にありがたいことだ。



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