尾去沢鉱山 1/2
私の場合、既に誰かが訪問している既知の廃墟には、殆ど興味が沸かない。
紙媒体やネットで発表されていれば、どのような廃墟であるか、たかが知れているからだ。
未知の廃墟に入る時の、期待と不安が入り混じったような高揚感にこそ、廃墟の最大の魅力を感じる。
ではなぜ、今さら尾去沢鉱山なのかというと、私の中で鉱山は廃墟とは一線を画した存在だからだ。
神岡鉱山をきっかけに、廃墟の一部として鉱山にも興味を持ったが、ホテルや遊園地の廃墟とは別物であることに気付かされた。
国内の金属鉱山と炭鉱は、産業として消えようとしている。
鉱山廃墟は一過性の存在であり、生まれては消えてを繰り返している廃墟とは、明らかに違う。
そして、2000年間にも及ぶ日本の鉱山の歴史が終焉を迎え、衰退し消えてつつある今この時に生きていること、廃墟を趣味にしていることを、数奇な出会いだと考えずにはいられなかった。
前置きが長くなったが、鉱山に関しては日本国内の色々な場所を見てみたいし、何度でも足を運んで完全に消えゆくまで見守りたいと思っている。
今回訪問したのは、東北を代表する鉱山の一つで、1300年の歴史を誇った尾去沢鉱山だ。
現存している建物は少ないが、それでも見る者を圧倒する。
まるで遺構のようだが、斜面の下の敷地は一部転用されていて、工場が稼動している。
また、斜面の上には廃坑跡を利用した観光施設があり、見つからずに潜入するのは難しい。
下からも上からも行けないので、真ん中をゆく。
最初に見えてきた建物に入ってみた。
こんな光景を見かけると、気になってしょうがない。
残念ながら、しっかりと施錠されていた。
道のりが・・・
かなり怪しくなってきた。
廃墟と現役施設が同居している。
尾去沢鉱山2/2 へつづく