化女沼レジャーランド 7/10
続いて向かった先は、「お姫館」だ。既に日が傾いており、辺りは薄暗くなってきた。
しかし心配ご無用。中には照明が灯っていた。そう、このお姫館は廃墟ではないのだ。
ここは、化女沼に伝わる「照夜姫」の伝説を展示・紹介するとともに、霊を慰める施設でもあった。
昔、化女沼のほとりにで暮らしていた一人の姫。通りがかりの旅人と恋に落ちるが、相手は旅立ってしまう。
悲しみに暮れていた姫は、身ごもっていた。子供(白蛇と表現されている)は沼の中へと消えてゆく。
それから毎晩、沼の中から赤ん坊の泣き声が聞こえるようになり、その声に誘われて姫は沼へと身を投じた。
ごくごく簡単に要約すると、これが化女沼の照夜姫伝説だ。何て物悲しい物語だろうか。
現代でも「姫に引きずり込まれて人が亡くなる」と言われ、慰霊の意味も込めてこのお姫館を建立したという。
以前は時おり溺死者が出ていた化女沼だったが、お姫館を建立した以後今日に至るまで、一人の死者も出ていない。
そのため、後藤社長や地元の人が台風の日も大雪の日も毎日欠かさずお姫館を訪れ、化女沼の安全を祈願している。
お姫館を出ると夕暮れが迫っていたため、再び遊園地を訪れてみることにした。
夕焼けに映える観覧車。影が錆を包み隠し、現役の観覧車のようにも見える。
そして日が暮れた。しかし、この日の探索はまだ終わらなかった。
夕食後、三たび遊園地を訪ねた。せっかくなので、夜の表情も見ておきたかった。
自分が見たかっただけで、三脚も何も持って来なかったので、画像はこんなもんで勘弁して欲しい。
本当なら、四季折々色んな時期や時間に来て、訪問回数を重ねることでその廃墟に迫りたいと思っている。
一度来ただけでは、廃墟の本質など到底理解できない。同じ廃墟に70回ぐらい通ったりもしているが、満足することはない。
これだから、廃墟は飽きない。ただ、岐阜から宮城まで通うことは難しいので、この機会に可能な限り見ておきたいと思った。
朝と昼、夕方で雰囲気が変わるように、夜もまた変わった印象を受ける。
ここが遊園地として栄えていた当時も、当然ながら昼もあれば夜もあるし、夏もあれば冬もある。
晴れた日もあれは、嵐も日もあっただろう。廃墟になった状態でも、なるべく多くのシーンを見ておきたいと思う。
夜の廃墟は、特に寂しい感じがする。
それがまたいいのだが。
この日の探索はこれで終了。翌日へと続く。
化女沼レジャーランド8/10 へ続く