悲哀の廃集落 3/5
次は、ここに着いてからずっと気になっていた廃神社へお参りする。
廃神社というのは、どれも異彩で独特な雰囲気を発しているが、ここは別格だった。
廃集落の山沿いの日陰にあって、自然に飲み込まれようとしている姿は、見る者の心を捉える。
廃墟になっても、何十年もずっと鎮座し続ける狛犬。
手を合わせて、お参りする。
中はガランとしていた。
神社の上にも木が倒れていて、風化しつつある。
この神社はこれからもひっそりと、ゆっくりと自然に還ってゆくのだろうが、そうあって欲しいと思った。
続いて、その神社のお隣の建物にお邪魔した。
入ると、きなり祭壇があってビックリした。
どうやらここはお寺だったらしい。
祭具が畳に散らばっていた。
こんなものまで、放置されていた。
荒れるに任せた寺というのも、珍しい。
「念誦」(ねんじゅく)とだけ書かれているが、意図がよく分からない。
政治的な活動も行っていたようだ。
悲哀の廃集落4/5 へつづく