悲哀の廃集落 4/5
ほぼ全ての廃屋を探索し、余すところは川の向こうの、この住宅のみとなった。
川を渡らないと行けないが、どうしても行きたい事情があった。
それが、民家の軒下に掲げられていたこの看板だ。
ダムにより廃村となったこの集落を、如実に表している残存物だ。
これは、是が非でも間近で見たい。
だが、メインルートであった橋は、こんな状態。
今まで、危ない橋は色々渡ってきた(いろんな意味で)。
強度さえもてばどうってことないのだが、どう見ても無理そうだ。
他に川を渡るルートを検証した。
もう一つのこの橋は、強度は大丈夫そうだが2本の間隔が離れすぎていて、両足で跨ぐことができない。
綱渡り式で1本橋をバランスを保って渡れば何とかなりそうだが、カメラも持って行くとなるとリスクが高い。
ならばもう、選択肢は一つしかないわけだが・・・
川の水は、身を切るように冷たかった。
以前、積雪の中で同じことをしたことがあるが、修行に近いものがある。
なんとか川を渡り、かじかむ足を拭いて靴を履く。
そして、念願の看板に対面することが出来た。
「部落を割る関電電発に絶対反対」
この廃集落の全てを物語っている気がした。
中にお邪魔したら、早速レトロなコカコーラの通函が転がっていた。
王冠をかぶせたビンのコカコーラを入れていた箱、それも木製だ。
これまた良い感じの日本家屋だ。
やはり、家の中心には囲炉裏があった。
悲哀の廃集落5/5 へつづく