岐阜県最後の魔境!
廃墟の楽園 1/4
岐阜県の風光明媚な場所。
川沿いの山の斜面に張り付くように、それは存在している。
山の中腹に建立された白塗りの仏舎利塔が異彩を放ち、廃墟に興味がない市民の間でも話題の場所だ。
ここは半世紀以上前に、仏舎利塔をランドマークとしたレジャー施設として開発された。
仏舎利塔は信仰の対象という訳ではなく、京都の清水寺のように宗教に根差しながらも観光客がたくさん来るというテーマパークを目指していた。
最上部に仏舎利塔を配置し、メインストリート沿いには多くの物産店が軒を並べ、宿泊施設もあった。
園内には劇場や宴会場、庭園等があり、半世紀近く前には動物と触れ合えるコーナーも設置されていたと言われている。
山中に複数の散策コースも整備され、全山を観光開発したと言っても過言ではないだろう。
今から数十年前、レジャーの多様化や観光客の国外流出により国内観光が急速に衰退し始めた頃、ここも閉園したようだ。
閉園から40〜50年が経過し、当時を知る人は著しく少ない。
仏舎利塔が気になっている市民は多いが、新興宗教が絡んでいるという噂があり、近寄りがたい場所になっている。
まさに「魔境」と言葉がよく似合うパラダイス(楽園)だ。
かつては整備されていたであろう廃れた道を歩き、白い塔を目指した。
※敷地は現在も創業家が所有・管理されています。
立ち入らないのが原則ですが、探索される際にはタバコなど火気の取り扱いは厳禁のうえ、物品を傷つけないように細心の注意を払われることをお勧めします。
また、敷地内で怪我等されないようくれぐれもご注意ください。
正面突破はリスクが高いため、別ルートからのアプローチを試みる。
かつては車が行き交っていた道も、獣道どころか、ただの山と化している。
藪をかき分けて進むと、人工物が見えてきた。
何かの集積場だったようだが、今となっては知る由もない。
この先に、階段が見える。とりあえず、進むしかない。
階段も、かなり自然と同化しつつある。
道なのか何なのか分からないものの、とりあえず進んでいると、長い階段が現れた。
中央に手すりがあるということは、上り下りを隔てていたのだろうか。
それほど人が往来していたとは、この状態からは想像もつかない。
長年の歳月は、道を道では無くしてしまう。
道のりが困難であればあるほど、進みたくなってしまう。
TEAM酷道の悪い癖だ。
山中で一人、悪路と格闘する。
熊だけは、勘弁して欲しい・・・
所々に人工物があり、何となく進む方向が分かる。
何度も分岐と合流を繰り返し、上を目指す。
来た道を帰る自信は、既に無い。
帰りのことは帰りに考えればいい。
廃バスが見えてきた。
バスが、山の斜面に落ちそうになっている。
くもの巣をかき分けながら、バスに近づく。
バスの車内。
斜面側のバスの車体には「○○楽苑」という文字が消えかかっていた。
ここの、かつての名称を示す数少ない物証だ。
このバスは送迎用ではなく、園内周回用のバスだったらしい。
廃墟の楽園2/4 へ続く