東○紙業 1/3
とある休日の早朝、そーっと家を抜け出した。
週末恒例となりつつある、廃墟を探しながらのドライブ。
数時間という限られた時間だが、自分だけで過ごせる数少ないひとときだ。
地図でそれらしい場所を見つけて走ると、たいてい発見できる。
こういう時は、カーナビよりも紙の地図に限る。
そして今日も、1件の廃墟を訪れた。
何かの工場と思われる物件に行き着いた。
従業員募集、ここで働けるのなら転職したい。
入り口には草が生い茂り、廃墟だということを物語っている。
意外と車の通行量が多いため、タイミングを見極めて入った。
左手にある工場施設、かなり荒れている。
正面は、独特の形をした工場だ。
右手にまで工場が続いていて、その向かいには住宅と事務所があった。
まずは事務所へ。
本棚には、水質や大気関連の管理書類が並んでた。
カレンダーは、1998年10月で止まっている。
散らかったテーブルの上には、6玉のソロバン。
珠算を習っていたことはあるが、5玉しか知らない。
昔は6玉しかなかったが、何進法で計算するのだろうか。
・東○紙業2/3 へつづく