O温泉ホテル 1/2


「手っ取り早く廃墟を見つけたければ温泉へ行け」というぐらい、日本の温泉地には廃墟が溢れている。
今の世の中、既存の廃墟ならネットで探せばすぐに見つかるだろうが、そんな廃墟には興味が無い。
全く知らない廃墟に行くからこそ楽しいのであって、例え初めて行く廃墟であっても、事前にネットや書籍等で見てしまえば楽しさは半減する。
「予習」してしまった段階で、訪問は既に「復習」であり、新鮮味に欠けるからだ。

また、未知の廃墟を探すにしても、今は航空写真がネットで簡単に見られる時代なので、ネット上の情報と航空写真を頼りに探すのが主流だろう。
しかし、こうした探し方をしていても、アナログ世代の私としては、やはり楽しくない。
道路地図と勘を頼りに温泉地のマークを目指して車を走らせたり、遠目に見える樹木の生え方で廃墟の臭いを嗅ぎつけるほうが楽しい。
廃墟を探索している間も楽しいが、廃墟を探してあてもなくドライブしている時間も楽しい。例え廃墟が全く見つからなかったとしても。
廃墟の楽しみ方は人それぞれ。こんなマイノリティーな楽しみ方をしている者はごく少数だろうが、昭和のアナログ親父だと思って勘弁してほしい。

さて、温泉あるところに廃墟ありの言葉通り、やはりあった。
ここはかつて温泉街として栄えた町だが、国内観光の衰退と温泉ブームが去った今、残っているのは1軒の民宿と地元の人たちが集う日帰り入浴施設のみ。
あとは1軒の大きな旅館の廃墟と遊技場の廃墟だけが残っていて、繁栄していた往時の面影をわずかに残している。
温泉街最大規模だったかつての旅館は、増築に増築が重ねられていて、手作り感と昭和の香りが色濃く漂う個性的な廃墟だった。






見た目は4階建ての普通の旅館。



その向かいには遊技場の廃墟も残っていた。かつては泊り客が丹前を着て遊びに来ていたのだろう。



旅館の裏には渡り廊下があり、増築した複数の建物が連なっていた。
これは、廃墟になる旅館の典型的なパターンだ。



中にお邪魔し、まずは本館を探索。



客室内は、意外と綺麗な状態。



そして、なぜか斧が!



温泉旅館に来て浴場は外せない。



ゴシゴシ!キュッキュッ!



意外と貧相な造りだった、



いまいち信用できない渡り廊下を越えて別館にやってきた。



客室前のライトがモダンだと思ったが、1部屋ずつ全部違うライトが取り付けられていた・・・









 O温泉ホテル 2/2 へつづく

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