巨大温泉旅館「坂○屋」2
2階には、厨房、宴会場、大浴場があった。
厨房は、なぜか浸水している。
そう、この物件はどういう訳か、水が多い。
外周を一回りした時にも、快晴なのに上から水が滴っていた。
浴槽にも水が満たされている。
脱衣所に、神棚が打ち捨てられていた。
もう一方の浴場も、やはり水が湛えられていた。
この物件は人為的な破壊が皆無で、時間の流れが遅い。
都市部の物件なんかはすぐに破壊行為を受け、あっという間に廃れるが、
こうしたひっそりと佇む物件は、じっくりと年月をかけて熟成される。
宴会場は、小宴会場が幾つもあった。
仕切りを外せば大宴会場になり、これまたよくある造りだ。
3階の外には、まるでプールのように水が貯まっていた。
ここで、建物の外周が水浸しだった理由がわかった。
雨などで貯まったプールの水が、風でオーバーフローして流れ落ちているのだ。
客室の一つに、「押入れに生活感がある部屋」があった。
ドラえもんに憧れたのだろうか・・・。
給湯室から、プールが見える。
各部屋には、素敵な名前が付いている。
階段で、さらに上へと向かう。
巨大温泉旅館「坂○屋」3