ホテル坪○ 〜前編〜
鉱物性の成分を基準値以上に含む温泉を鉱泉と呼ぶ。
あまり馴染みのない単語だが、富山県内には鉱泉が多数点在している。
ホテル坪○があるここ坪○鉱泉は山頂近くに位置し、客室からは日本海と富山平野まで見渡すことが出来る。
一軒宿の鉱泉だったらしく、唯一の施設が廃墟となった現在では、坪○鉱泉という名称自体が消滅している。
今回は一切事前情報の無い状態で訪れたため知らなかったが、地元では最も有名な心霊スポットらしい。
この手の物件にはありがちな、経営者が自殺したという話もついてまわる。
こうした噂話は、十中八九いい加減な作り話だろう。
しかし、実際に事件は起きている。
1996年、当時19歳だった少女二人が「坪○鉱泉跡に行く」と言い残し、行方不明になっている。
これは新聞やテレビでも大々的に取り上げたが、未だ発見されていない。
ほかにも、帰り道不審な車に尾行されて後日脅迫を受けたとか、物件内で恐喝されたという話が多い。
物件周辺では実際に強姦事件や車上荒らしも発生しており、地元警察が近寄らないよう呼びかけている。
とにかく、色々な危険が存在する物件であることは間違いない。
今回、我々はそんなことを何も知らず、ホテル坪○に乗り込んだ。
徹夜で車を走らせ、早朝、現地入りした。
朝日を浴びて、輝いている。
いよいよ内部へ。
ロビーは全て板で覆われていた。
しかし、心霊スポットが故に侵入は容易だった。
ちょいとおじゃまします
板で囲われていることもあって、ロビーは真っ暗だった。
ホテル坪○ 〜後編〜