番外編 柵原鉱山の周辺散策 1/2
中国地方廃墟探索作戦を途中で抜けて向かったのは、柵原(やなはら)鉱山だった。
廃墟が存在しない柳原鉱山に向かうのには、ある訳があった。
昨年、書籍『廃線探訪』(彩図社)を制作するにあたって、同和鉱業片上鉄道線の廃線跡を訪問した。
同線は瀬戸内海に面する備前市と、山間部の柵原町とを結び、鉱石を運ぶついでに人も運んでいた。
備前市の片上駅からスタートし、線路跡にべったり沿って柵原付近まで来たのだが、終点・柵原駅の1駅手前、吉ヶ原駅で、月に一度の保存運転にたまたま遭遇。
これに気をよくした私は、国内最古の動く気動車に乗って舞い上がってしまい、まだ先があることをすっかり忘れてしまった。
本では「ここを旅の終わりにするのも悪くないだろう」なんて強がりを書いているが、何のことはない、ただ舞い上がって忘れていただけなのだ。
そんな訳で、吉ヶ原〜柵原間のうち、保存運転区間を除く約1キロ間だけが、未訪のままになっていた。
本はもう刊行されているので今さら訪問してもどうにもならないが、個人的にこのまま放置しておくのはどうしても気分が悪い。
そこで今回、この未訪区間を潰すのも、遠征の大きな目的であった。
まずは吉ヶ原駅の保存運転。今回は事前に運転日を調べ、そしてこのタイミングで訪問した。
国内最古の動態保存気動車・キハ303は、昭和9年製造。
併結されているキハ312は、昭和28年製。すごいお年寄りだ。
運転区間は数百メートルだが、この雰囲気はたまらない。何度でも再訪したいと思う、数少ない場所だ。
猫が駅長を務めたのは、ここが最初。
駅の近くには、再現された鉱山の竪坑櫓(レプリカ)や、鉱山資料館もある。
500円を支払い、柵原鉱山資料館へ入る。
フツーのエレベーターなのだが、坑内エレベーターを意識し、それっぽい音声が聞こえる仕組みになっている。
何度も言うが、外観・仕様はごく普通のエレベータだ。
地下の坑内に着くと、いきなり昭和の街並みが再現されている!
鉱山資料館と何の関わりが・・・?
街並みを抜けると、いよいよ鉱山展示が始まる。
といっても、建物内に坑内を再現しているので、岩盤のハリボテ感がハンパない。
鉱石は本物だが、建物の中では、やはりちょっと・・・
見所は、坑道の立体模式図と、
当時の写真だ。
これが見られただけで、500円の価値はあったと思うようにしよう。
番外編 柵原鉱山の周辺散策 2/2 へつづく
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