岐阜の路面電車
4.廃線跡
美濃町線 新関駅
美濃町線の終点は関駅であったが、実質的に終着駅としての機能を備えていたのは、新関駅だった。
1999年に新関〜美濃間が廃止された際、長良川鉄道と連絡するために関駅が新設された。
関駅は1線での折り返し運転のみで、2線+引込み線を擁し、運行管理を行い駅員が常駐する新関駅が、実質的にはターミナルだった。
廃線から3年が過ぎた2008年、新関駅を訪れた。
現役当事と大きな違いは無いように見える。
ようこそ刃物と鵜飼のまち関市へ
ホームに立つと、今にも電車が走ってきそうな気さえする。
線路上に落ちていた、2両編成の電車の停止位置を示す標識。
本当に、3年前と何も変わっていないような気もするが・・・
電車がくることは絶対にない。
1世紀にもわたり、岐阜の街を走り続けた路面電車。
街を育て、街が育んできた路面電車は、2005年に廃止された。
愛知県とともに繊維の街として栄えた岐阜はいま、産業の地盤沈下に苦しんでいる。
繊維から自動車にシフトした愛知と、繊維の次が無い岐阜とで、明暗が分かれた。
岐阜駅前の商店街はシャッター通りとなり、繁華街の柳ヶ瀬にも往時の活気はない。
そして路面電車が廃止され、岐阜駅前にあった名鉄百貨店とパルコが相次いで閉店、いよいよ街から賑わいが消えていった。
現在、岐阜駅前の再開発が行われているが、いずれも好況に沸く名古屋のベッドタウン化を狙ったものばかり。
地価は上昇しても、抜本的に産業や景気が浮上するわけではない。
一度剥がされたレールが敷き直されることは、もうないだろう。
時代に逆行する岐阜は、これからどこに向かうのだろうか。
途切れた線路の先に、目指すべきビジョンは、まだ見えない。
2008年7月
よごれん
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