東日本大震災
岩手県上閉伊郡大槌町 2011年5月2日
さらに海に沿って進むと、民宿の上に乗ったままの観光用大型フェリーが見えてきた。
震災のシンボルとして保存する動きもあったが、結局は撤去された。
危険があってはどうしようもないが、何か残しておくべきだとは思う。
見ると悲劇を思い出すから壊して欲しいという被災者の意見も分かる。
しかし、そうやって悲しみから目を背けてきた結果、今回も悲劇を繰り返してしまった。
三陸や首都圏では、必ず定期的に大地震が来る。
それが世代を超えて伝わらないため、数十年周期で悲劇を繰り返してしまう。
線路のレールが、とんでもないことになっていた。
途切れたレールの先では、橋脚が横倒しになっている。
築堤の上に登ってみた。台風並みの凄まじい強風で、吹き飛ばされそうな勢いだ。
眼下に広がっていたのは、壊滅した市街地だった。
強風で、四つんばいになっていないと本当に飛ばされそうだ。
風に向かって立っていると砂が目に入るし、背中を向けていると飛んできたベニヤ板が後頭部に直撃した。
交通誘導にあたっていた自衛隊員は、風に向かって前傾姿勢になりながら立っていた。
そうでもしないと、本当に立っていられない状態だった。
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